イタリアに、ブルーノ・ムナーリという芸術家がいます(といっても1998年没)。
この人は多才で、絵画や彫刻にも作品を残しながら、グラフィックデザイナーであり、
プロダクトデザイナーでもあり、教育家でもあり、美術の研究者でもあります。
ウェブのデザインについての本を読んでいくなか、「良いデザインとはそもそも何か」といったくだりで
この人の考えが繰り返し紹介され、この人のことを知りました。
そんなブルーノ・ムナーリなのですが、さらに絵本作家の側面もあります。
今日はそんな絵本の紹介です。
『きりのなかのサーカス』は、ムナーリの代表的なしかけ絵本です。
霧の中を通り抜けてサーカスへ行くストーリーなのですが、
トレーシングペーパーをうまく使ってページごとに霧の濃さを表現したり、原色をうまく使ってサーカスの楽しさを表現したり。
全体的に暗めな流れなのですが、視覚的に大人も楽しめる絵本です。
ムナーリは非常にこだわりを持っている人だったそうで、この絵本が各国で出版されるにあたっても、
紙や色の質などを充分に再現できない出版社には出版を許可しなかったそうです。
日本では1969年に発刊された後、絶版となって久しかったそうなのですが、去年の秋に、谷川俊太郎が新しい訳者となって復刊されました。
これもおそらく増刷はなく、売り切れれば絶版になるのではと思います。
実際に今は入手が難しくなってきているようで、興味のある方は見つけたら即買いの絵本です。
written by でんティ